偏差値181億に真剣に立ち向かう話(3)―数学的アプローチによる検証―
※この記事はMathJaxおよびを使用しています。
今回は下記記事の続き、「数学的アプローチ」についてとなります。
なお、これ以降では自然対数の底に対し、そのべき乗である関数を
\begin{align}
e^t=\exp(t)
\end{align}
と表記することにします。
偏差値の正体と前回使用した計算式との関係性
\begin{align}
f(x)=\frac{1}{\sqrt{2\piσ^2}}\exp\left(-\frac{(x-\mu)^{2}}{2σ^{2}}\right)
\end{align}
であり、そのグラフは下図の通りである。
ここで、グラフと軸の間の面積について、
\begin{align}\int_{a}^{b}f(x)dx\end{align}
は確率変数が以上以下となる確率を表し、特に、
\begin{align}
\int_{\mu-σ}^{\mu+σ}f(x)dx\fallingdotseq0.6827,&\int_{\mu-2σ}^{\mu+2σ}f(x)dx\fallingdotseq0.9545,\\
\int_{\mu-3σ}^{\mu+3σ}f(x)dx\fallingdotseq0.9973,&\int_{-\infty}^{\infty}f(x)dx=1
\end{align}
である。今回取り扱う「偏差値」は平均が50、標準偏差が10なので、
\begin{align}
f(x)=\frac{1}{10\sqrt{2\pi}}\exp\left(-\frac{(x-50)^{2}}{200}\right)
\end{align}
となる。
したがって、前回取り上げた「1-CDF[NormalDistribution[50,10],]」との関係性は、
\begin{align}
1-{\rm CDF[NormalDistribution}[50,10],x]=\int_{x}^{\infty}f(t)dt
\end{align}
と表される。
Level1:偏差値=81を再計算する
前回との差もなく大丈夫そうである。いよいよここからは未知の領域へ……
Level2:偏差値=11,081
すなわち偏差値11,081は上位2.3215×10-264233%となる。かの有名な大企業Google社の社名の由来となった巨大数グーゴルは10100である。その2642乗分の1よりも小さいのである。とはいえ、統計学用関数から数式に切り替えたおかげで、前回超えられなかった壁を一つ越えたことに感謝して、次に進もう。
Level3:偏差値=111,081
すなわち偏差値111,081は上位6.8851×10-26769661%。もはや尺度も何もない状況である。
Level4:偏差値=18,111,081
メッセージ:「Wolfram Alphaはクエリを理解できません」
Wolfram Alpha、2度目の敗北である。
誠に残念である(何が)。では偏差値いくつまでなら計算できるのか。
どうやら100万ですら計算できない様子。これでは先へは進めないのも当然である。
現状のまとめ
下表に、現時点での計算結果をまとめておく。2つ進んだが2つ残ってしまった。
偏差値 | 上位◯% | ||
統計学的アプローチ | 数学的アプローチ | ||
Level1 | 81 | 9.6760×10-2 | 9.6760×10-2 |
Level2 | 11,081 | 計算不可 | 2.3215×10-264233 |
Level3 | 111,081 | ― | 6.8851×10-26769661 |
Level4 | 18,111,081 | ― | 計算不可 |
Level5 | 18,118,111,081 | ― | ― |
今回はここまで。次回は「科学的アプローチ」で再々検証を行う予定である。